2013年04月18日

公演プログラムのご紹介



昨晩の《オテロ》東京公演初日、大勢のお客様にご来場いただきました。どうもありがとうございますexclamation×2日本引越公演はこれで三回目のフェニーチェ歌劇場、そして日本を良く知っているキャスト達も、やはり東京の初日は緊張するようです。しかしその緊張をバネに素晴らしい公演となり、お客様の反応もおかげさまでとても良いものでした。




さて、今日は会場で販売されている公演プログラムについてです。引越公演は特別なイヴェントとして企画されるため、プログラムも永久保存して頂けるクオリティーを目指して制作メンバーが知恵をしぼって構成を考えます。特に、イタリアの歌劇場は世界の歌劇場と比較してもプログラムが学芸的に充実していることで知られており、その中でもフェニーチェ歌劇場のプログラムは、イタリア随一の歌劇場歴史資料室(奇跡的に火災をまぬがれたそうです)を持っている劇場らしく、ミラノ・スカラ座に並ぶ国内最高のクオリティーを誇っています。その歌劇場の来日公演ということで、私たちも出来る限りの内容をめざして頑張って制作しました。





プログラム表紙.JPG
公演プログラム表紙






ここに今回のプログラムの目次をご紹介します。

目次

7 公演概要
8 ごあいさつ
13 人間ヴェルディ (フランコ・ロッシ/訳:井内美香)
22 チョン・ミョンフン/インタビュー(佐藤千晴)
24 《オテロ》キャスト
26 ヴェルディの遺産《オテロ》の演出ノート (フランチェスコ・ミケーリ/訳:井内美香)
29 プロフィール
40 登場人物相関図とあらすじ(井形ちづる)
41 嫉妬に取り憑かれた英雄(小畑恒夫)
46 《オテロ》の音楽史的意義(小畑恒夫)
48 ヴェネツィア、キプロス、「ムーア人」(藤内哲也)
52 《オテロ》の声 ―フェニーチェ歌劇場芸術監督フォルトゥナート・オルトンビーナ氏に訊く―(井内美香)

56 特別コンサート プログラム+キャスト
57 プロフィール
58 《リゴレット》登場人物相関図とあらすじ(井形ちづる)
60 《椿姫》登場人物相関図とあらすじ(井形ちづる)
62 心底を映す鏡(岸 純信)
64 《リゴレット》と《椿姫》の音楽的特徴と意義(岸 純信)

66 ガラ・コンサート プログラム+キャスト
68 プロフィール
69 曲目紹介(井形ちづる)

72 大阪国際フェスティバルとフェスティバルホールの今昔(佐藤千晴)

76 日本公演参加メンバー






巻頭記事「人間ヴェルディ」は、フェニーチェ歌劇場歴史資料室の顧問で、ヴェネツィア音楽院教授フランコ・ロッシ氏に特別にご寄稿いただきました。昨年11月に資料室でお目にかかった時にはご自身が発見したヴェルディの手書きのメモを愛おしそうに見せて下さったのが印象に残っています。


また、イタリア・オペラのエキスパートである執筆陣に加え、今回、中世近世のヴェネツィア史のご専門家である鹿児島大学法学部准教授・藤内哲也氏の「ヴェネツィア、キプロス、『ムーア人』」が掲載されており、《オテロ》の物語の背景となっている史実について詳しく知ることが出来ます。




加えて現地ヴェネツィアで行われたチョン・ミョンフン氏のインタビュー、新生フェスティバルホールと大阪国際フェスティバルの今昔を辿る記事、そして《オテロ》とコンサートの解説も大変充実した内容です。数多い美麗写真も魅力です。






ジュゼッペ・ヴェルディ生誕200周年記念と銘打った今回のフェニーチェ歌劇場来日公演プログラム、一部2,500円で販売しております。会場でぜひお手に取ってご覧頂ければ幸いですexclamation








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オーチャードホールのプログラム売り場





posted by フェニーチェ2013 at 12:39| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月17日

演出家フランチェスコ・ミケーリ氏インタビュー



フェニーチェ歌劇場来日公演《オテロ》の演出家フランチェスコ・ミケーリ氏に大阪でインタビューをしました。今日はその内容をご紹介します。



ミケーリ氏はベルガモ出身。ミラノで大学の勉強と平行してパオロ・グラッシ演劇学校で学び、イタリア内外で数多くオペラの演出をしています。2011年夏アレーナ・ディ・ヴェローナでグノーの《ロメオとジュリエット》を演出し大評判となり、フェニーチェ歌劇場でも同年にプッチーニ《ラ・ボエーム》の新演出を手がけ成功をおさめました。昨年11月には来日公演演目の《オテロ》の演出でフェニーチェ歌劇場の今シーズンを開幕。ミケーリ氏は現代オペラの初演や子供達にオペラを親しんでもらう目的のオペラ公演の台本執筆や演出も数多く手がけ、またスカイTVでオペラ番組の司会もしています。昨年から伝統あるマチェラータの夏の野外オペラ祭の芸術監督に就任し、ますます活躍の場を広げています。




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フランチェスコ・ミケーリ氏






Q:今回初来日ですが、前から日本に来るのが夢だったそうですね?

A:嬉しくて死にそうなくらいです。もともと日本の歴史が好きで、東洋と西洋の歴史の違いに大きな興味を持っていました。長年のうちに集めた様々な情報から夢が膨らんでいたのでやっと来日がかなった、という気持ちです。



Q:特にどの面にご興味があるのですか?文化一般ですか、美術的なこと、そして勿論演劇も?

A:いまおっしゃったことは全部興味があります。劇場人としての私の偉大な師はミラノの演劇学校で教わった井田邦明教授でした。日本の伝統芸能についても教わりました。それから私はフランスでジャック・ルコックにも師事しました。ルコックも東洋の演劇から強い影響を受けています。彼らはそれぞれの人種が持っている文化の違いを尊重することを教えてくれました。私がこの仕事をする真の理由は人々と出会い対話することにあるので、日本のようにイタリアと違う文化を持つ国を訪問することには強い興味があった訳です。長く待ったのは仕事として来たかったからで、私が思うのに相手を知るのにはそれが最良の方法です。



Q:今回の《オテロ》の演出にあるオテロを苦しめる黒子のような姿をした役者達、彼らは舞台にある巨大なボックスを回す演技もしますが、あのような表現は日本の影響なんですか?

A:まさにそうです。でも黒子達だけではありません。私は作品を作る時に、その土地の観客に関係のある要素を取り込むようにしています。ですからこの《オテロ》の演出はヴェネツィア色がもっとも強烈に出ていますが、それに加えて日本についての言及もあるのです。ヴェネツィアに関しては数少ないけれどもとてもはっきりした引用があります。物と物の間隔を埋める水、そして海。海を反映した空…



Q:時代設定はどう決めたのですか?

A:時代は19世紀末、つまりヴェルディがこのオペラを作曲した時代です。それは同時にイタリアという国が本当に生まれた時代でもあります。イタリアという国が建国され、『イタリア人』という概念もそこで生まれたわけです。衣裳も当時の軍服のスタイルです。それからこれは私に個人的な関わりもある部分なのですが、1943年にヴィットーリオ・エマヌエーレ三世がローマから逃走した時に伯父がその護衛隊長だったのです。当時伯父は23歳でした。民を治める立場にあった者が自身を見失う場面に伯父は立ち会った訳です。オテロはキプロス島で司令官の立場にあり、物語の冒頭に嵐の中で船が難破しそうになったのと同様、彼は自分自身のコントロールを失い彼の人生は難破してしまう訳です。

イタリアの海軍は他の軍隊と比べてもプロトコルを遵守することを最も厳しく要求します。海は危険で船は狭く、海軍兵達は精神的にもお互いがとても近いところにいなくてはいけない。部下は上官に完全な服従を誓わなくてはなりません。《オテロ》は服従と忠誠を否定されてしまった悲劇なのです。




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フェニーチェ歌劇場での《オテロ》上演 写真:Michele Crosera



Q:《オテロ》の舞台を特徴づけるのはとても美しい星座絵です。なぜこの選択をなさったのですか?

A:ヴェネツィア支配下にあったキプロス島ということで、海の上にある島の不安定さからでしょうか、人々は天を見て自らの運命を占います。《オテロ》の台本の中には天、星、海に関する言及がとても多いのです。デズデーモナが悪い星の下に生まれた、という表現もあります。星座絵の中ではオテロは獅子座、ヤーゴは海蛇座、そしてデズデーモナはプレアデス星団(昴)、プレアデスはシェイクスピアの時代であるルネッサンスには大変魅力のある星団として考えられ、天使の姿で描かれていました。同時にデズデーモナは美の女神である金星にも関わっています。第一幕最後の二重唱でオテロが「金星(ヴィーナス)が輝く…」と歌いますよね。それは彼女の外面と内面の美しさです。



Q:ボックスが回るのは運命を動かしているように感じます。

A:そうです。あのボックスの中はオテロの内密な空間になり、夫婦の対話、もしくは対立が表現されたり、オテロが周りの人全ての中心に位置しているという物語の構造も表しています。この立方体(キューブ)は孤独を表すと同時に、その回転はダイスを投げる、と言うように運を天に任せる私たちの人生を表現しているのです。



Q:今回の来日公演のプログラムに掲載されているあなたの記事にはシェイクスピア原作との比較が多く語られています。ヤーゴの不思議な嫉妬の正体についても。シェイクスピアとヴェルディ&ボーイトの《オテロ》の違いについてはどうですか?

A:違いはありますね。特にボーイトはスカピリアトゥーラ(蓬髪主義)という、当時のイタリアで古い物を否定し、打ち壊したいという若い世代の運動を代表する人物でした。祖国、家族などの価値だけでは飽き足らず、先験的に破壊の欲求を持っていた。その気運が「ラ・ボエーム」のような若者達に繋がっていく訳ですが、旧体制の価値を否定し破壊するのは自分の居場所を確保するためでもあるのです。そこにはヤーゴのような憎しみはありませんでしたが。これが19世紀末の心理的、内面的な世界であったのですが、シェイクスピアの天才はそれに近い世界を予言していたのですね。人間の内面は宇宙のように広大で、光と闇で出来ています。ヴェルディはボーイトと一緒にシェイクスピアの第一幕にあたるヴェネツィアでの場面を完全にカットしました。ヴェネツィア総督等が出てくる政治的な事情を語るこの幕が無いため、物語はずっと内面表現の、心理劇の様相を呈してきます。ヴェルディは19世紀的なロマン派表現、祖国愛などを代表する作曲家だったのに、若いボーイトの資質を吸収し新しい芸術に到達した。そういう意味でこの《オテロ》の中の最高の瞬間の一つは第三幕の絶望したオテロが語る「神よ!貴方は私に不幸と恥辱の全てを…Dio mi potevi scagliar tutti i mali」だと思います。

劇場人であるヴェルディは、かつて自分の芸術に反対する記事を書いていたボーイトという男からの影響を進んで受け入れ、このような新しい作品を書いたのです。私はヴェルディの芸術に対してだけではなく、彼の人間性に対する大きな尊敬の念を抱いています。ヴェルディは自分自身を否定することを恐れなかった。音楽的にもボーイトはワーグナーの影響を受けた作曲家であり、この《オテロ》の中にある半音階主義的動きはヴェルディがワーグナー革命を吸収し昇華したことを示しています。



Q:そのような精神はイタリア人のスピリットとして今も受け継がれているように思いますがいかがですか?

A:確かにそうですね。私たちはグループで仕事をする能力があるけれど、それは日本人にも同じ能力があると感じます。違いは日本人はグループの力が全体で一つになる印象を与えるのに対し、私たちはばらばらのままでグループを形成している、ということです。これは時には摩擦を生んで様々な問題を起こす時もありますが(笑)、それぞれの個性を生かしながら一体となり得た時にはイタリアの天才的な部分を表現することが出来るのです。個性を保ちながら全体に対して貢献する。それはまさに歌手、役者、合唱団、オーケストラ、舞台美術、照明などの様々な要素で成り立っているオペラという芸術の世界なのかもしれません。



Q:大変興味深いお話、どうもありがとうございました。








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ミケーリ氏。大阪の初日後の夕食会にて。


posted by フェニーチェ2013 at 12:02| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《オテロ》公演に出演している日本の児童合唱団ご紹介




スタッフMです。昨日の東京文化会館大ホールでのガラ・コンサートも大好評のうちに終了致しましたexclamation×2




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ガラ・コンサートを終えて笑顔のピザピアさんとニッツァさん







さて、移動その他でご報告が遅くなってしまいましたが4月14日には愛知県芸術劇場大ホールでの「オテロ」公演が行われました!こちらも皆様の暖かい拍手を頂きありがとうございました。







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名古屋公演カーテンコール







さて、公演が終わってからになってしまいましたが、今日は大阪と名古屋で出演したラピスファミリー合唱団をご紹介しようと思います。大阪府高槻市竹の内コミュニティーセンター主催のサークルで指導は松元佐和子先生。《オテロ》第二幕にあるマドンナのお祭りの場面で透明感のある歌を歌い存在感がありました。



舞台裏では児童合唱団の皆さんは出演者達の人気者でした。特に共演するデズデーモナ役のリア・クロチェットさん、直接演技指導をしてくれた演出家のフランチェスコ・ミケーリさんとは仲良しになり、一緒に記念撮影を。






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音楽的な面では歌劇場の合唱指揮者クラウディオ・マリノ・モレッティ氏が子供達の指導に当たりました。皆大変素晴らしい歌を歌ってくれたとのことです。マエストロ・モレッティはフェニーチェ歌劇場の合唱指揮者になる前はトリノ王立歌劇場の合唱団、王立歌劇場の児童合唱団、そしてトリノのヴェルディ音楽院の合唱指揮他をしていた方です。





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ラピスファミリー合唱団の最後の公演だった名古屋では子供達がマエストロに色紙をプレゼント。マエストロはとても嬉しそうにずっとその色紙を握りしめ、皆に見せていました。





合唱指揮.JPG

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日本の子供達がこのような交流を通して音楽の持つ力を実感出来るのは素晴らしい事ですね!今日はBunkamuraオーチャードホールでの《オテロ》公演がありますが、こちらはTOKYO FM少年合唱団るんるんの皆さんが出演します。どうぞ《オテロ》をご覧の方は児童合唱の活躍にもご注目くださいexclamation





posted by フェニーチェ2013 at 07:07| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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